ポケットの中のレワニワ(上)
ポケットの中のレワニワ(下)
伊井直行氏の最新作。昨日の朝日新聞の書評に載っていた。
主人公の安賀多は二流大学を出て、電機メーカーのコールセンターで派遣社員として働いている。
上司のティアン(町村桂子)は小学校の同級生。もとベトナム人で、今は帰化している。主人公とティアンはかつて、ベトナム難民が多く住む団地に暮らしていた。
安賀多はティアンに「デートしよう」「付き合おう」と「軽い」告白を何度もしているけれど、「貧乏人同士で付き合ってどうすんの」と一蹴されている。
ある日、団地の近くに野球の応援に行ったとき、ティアンがベトナム人の同級生と再会したときをきっかけに、ティアンが安賀多にとって徐々に遠い存在になっていく。
他にも、安賀多に妙になついている義理の弟(ひきこもり青年)なども重要な人物として出てくる。そして、「レワニワ」なる謎の生物も・・・
ティアンはもとベトナム難民。安賀多も、不安定な職場で、人生に何の目的も見出せず、帰る実家もないという意味で難民のような側面を持つ。そして、社会から外れて生きているひきこもりの義弟も。
出口のない生活が続いていくようだけれど、それぞれの「難民」が最後には自分の居場所らしきものを見つけていく・・・という内容がよかった。
自分の居場所を見つけるには「意志」の力と、人間関係の構築が必要。もしかしたら今の若者には少し欠けているかもしれない。(偏見かもしれないけれど)
居場所がないの、と泣いてばかりいても仕方がないんだよな、と、勇気をもらった小説でした。
上下巻あるけれど、そんなに分厚くないので、長さは感じません。