ヘヴン  川上未映子

ヘヴン

作者:川上未映子
中学生のいじめを扱った小説。芥川賞を獲った『乳と卵』は、それほど入り込める作品と思わなかったが、この『ヘヴン』はすごかった。
面白いというか、ページをめくる手が止められず、息が詰まるような気持ちで読み終えた。
そして読み終えたあと、ボーっとしてしまった。
いじめを扱う小説は多いけれども、これはその中でも秀逸。いじめという題材を、人間の尊厳とか、原罪とか、そういうものにまで昇華した傑作!と思う。
斜視のため、日常的にひどいいじめに遭っている「ぼく」に、ある日コジマという同級生から〈わたしたちは仲間です〉という手紙が届く。コジマは女子だが、不潔で貧乏という理由でやはりいじめを受けている。
「僕」とコジマは手紙をやりとりしあうようになり、非常階段で話したりもするようになる。
夏休みのある日、コジマに誘われて、彼女の「ヘヴン」を紹介するために美術館へ行く「僕」
(描写からいってたぶんシャガールの絵だろうと思う)。
コジマは今は貧乏ではないのになぜ「汚く」し、いじめを甘んじて受けているかも「僕」に話す。コジマは、中学生ではあるが、哲学者であり、求道者みたいな女子。
あとはまあ、とにかく読んでいただきたい。ドストエフスキーの小説に出てきそうな同級生の百瀬、血のつながらない、でもゆるぎないものを持つ「僕」の母などなど、脇役もよい。
公園でコジマとともに裸になることを要求される最後の場面。コジマがとった行動…宗教的なものが強く感じられ、場面が迫ってきて、呼吸をすることを忘れそうだった。(ちょっと大げさですが)
超超超オススメです!!