ナナ
作者:エミール・ゾラ
この間読んだ『居酒屋』が物凄く面白かったので、これも読んでみた。『居酒屋』の主人公の娘がナナ。『居酒屋』でも、幼少の頃からグレていて家出を繰り返していたが、希代の悪女に成長してしまった。
生まれながらの美貌をもち、豊満な肉体をもった彼女は、全裸同然の姿で劇場の舞台に登場し、パリ社交界にセンセーショナルな評判を巻き起こす。
淫蕩なナナ。金持ちの男を捕まえてはとっかえひっかえ。ナナを慕ってくる純情な少年もつまみ食い。
くそまじめな伯爵を誘惑し、財産を巻き上げる。とまあ悪女ぶりは全開。
でも惚れた男には弱く、DVに耐えて男にご馳走を出すために街角に立ったり…
この小説は『居酒屋』とは違って、社交界の人々も多く、伯爵とか公爵とか、いったい何をして生活してるんだか、という人ばかり。登場人物が多くて読むのに苦労した。
労働者階級を描いた『居酒屋』の方が、私にとっては人々が生き生きと感じられて面白かったかも。
主人公のナナは悪女だけれど、同時に愚かな女。これも母の弱さと、父のズルさを「遺伝」として受けついでいるのか。そして母と愛人がひそかに通じる様子を見ていて、性道徳というものが欠けた女に育ってしまったのか。
「遺伝と環境と時代」が人の人生を決めると言っていたというエミール・ゾラ。人間観察は確かに冷徹。
近頃サギ女と謎の死がニュースによく出るけれど、美人でもなく若くもない彼女たち。男全般に対する憎しみが物凄く強くなるような、そんな人生を送ってきたのかしら?やっぱり父親との関係は悪かったのか?人の心はわからないけれど…