ばかもの 絲山 秋子

中高生のころ、安全地帯のファンだった。「プルシアンブルーの肖像」という、玉置浩二主演の幻の(?)映画まで見に行った事がある。石原真理子になりたかった。
でも、いろいろあったようで、イメージが崩れてちょっとショックだった。歌は今も好きだけど。
なので、昨日はテレビを見てびっくり。復縁するなんて!
ひどい別れ方をして、23年も経って、また愛し合うようになる…普通は顔も見たくないんじゃないかと思うけど、つくづく、人間の記憶力のなさと、傷ついても立ち直る力に感心した。
恋は人を少しばかりアホに見せる。安物のペアルックで微笑みあう二人。残りの人生、幸せでありますように。
さて、絲山 秋子の『ばかもの』。これも、過去にひどい別れ方をした男女の話だ。
主人公の大学生ヒデは、年上の額子にそれはそれはひどい捨てられ方をして、その後社会人になってかわいい恋人もできるものの、アルコール中毒になってしまう。
堕ちるところまで堕ち、退院後に10年ぶりに額子に会う。額子もものすごい喪失をしていて…
実に面白くて、一気に読んでしまった。最初はのっけから濃厚な性描写(男性目線で)、アル中になったヒデの様子、ハラハラドキドキ。登場人物もどこか過剰な人ばかり。
で、最後はほっとする内容。ひどい別れ方をしても、10年経っても、その間にどんなに辛いことがあっても、差し伸べる手はある。救いのある小説だった。