うつくしい人
作者:西加奈子
この間読んだ西氏の『ミッキーかしまし』が抱腹絶倒、すごく面白かったので小説も読んでみた。(初めて)
・・・予想に反して、エッセイとは対照的に笑えるところがいっこもない重い小説だった。
主人公の百合は32歳。お金持ちの親に頼って生きており、会社も「疲れて」やめてしまった。
百合にはひきこもりの姉との関係や、高校時代いじめに加担していたことでトラウマがあり、人間関係で素直になれず、息苦しい日々を送っている。
彼女は思い立って瀬戸内の小さな島に旅行に行き、豪勢なリゾートホテルに泊まることにする。
そこで出会う奇妙な背景を持つ人々との出会いによって、少し勇気をとりもどす。
苦しい思いを抱えている人が旅と出会いによって癒される・・・と、簡単にまとめればそんな話。
私はすっかり大人になってしまっているので、主人公には「甘えるな!」「しっかりしろ!」と思ってしまった。百合の葛藤がもう少しリアルに描かれていたら共感できたのになあ、と思う。
あとがきを読んで「ふーん」と思った。小説の舞台となった島は「幻冬舎の編集者」二人と行ったある島がモデルになっている、と。
こういう情報はあんまり知りたくない。人気作家に「書かせる」ために、リゾート地で「よい思い出」を作らせようとする編集者と、世界の狭くなってしまった若い小説家、という図式が浮かんできて・・・
若くしてデビューした小説家は世界が狭くなる危険がある、というある本の一節を思い出してしまった。
ひねくれたアラフォー読者には物足りない作品だった。でもまだ一作しか読んでいないので、もうちょっと読んでから判断しなくてはね。